東京コウモリ探検隊! 探索録
2025年08月19日の巻
2025年08月19日(火)
今日の日没時刻は18時26分。毎日1分ペースでどんどん早くなっている。出発の時間も早くなるし、帰宅も早くなる。帰宅が早くなると翌日が少し楽になるのでありがたい。
先週は少し、ほんの少し涼しかったが今週はまた暑くなっている。
今回は竪川を西から東へと歩く。竪川は地図を眺めていると見落としてしまう川である。というのも高速道路が真上にあるため地図上では青色の川が見えなくなっているのだ。しかも竪川は小名木川と違って途中までしかない。
出発はJR両国駅。まずは隅田川テラスへ下りる。写真は隅田川、両国橋のすぐ北から撮影。右の橋がJRの鉄橋。左が、わかりにくいかもしれないが神田川の合流地点である。柳橋が緑色に光っている。
南下していくと竪川水門テラス連絡橋に着く。ここが竪川の西端。Googleマップではこの橋が表示されないので最近できた橋とわかる。この連絡橋ができる前は東に大きく迂回しなければならなかったはずで、ランニングなどをする人にはうれしいものだろう。竪川沿いには進めないので車道に出て東へ。最初の橋、一之橋へ向かう。
前回の小名木川もそうだが、今回の竪川もアブラコウモリが期待できない川である。理由のひとつは下流域だからである。荒川も隅田川も潮の干満の影響を受けており下流部では塩分濃度が淡水よりも高めになる。そういう環境ではほとんど昆虫は発生しない。海で生活する昆虫はゼロではないがほぼゼロと言ってもいい。アブラコウモリの食べ物になる昆虫がいないのでアブラコウモリも来ない。
もうひとつの理由は樹木が少なすぎること。樹木の近くではいろいろな昆虫が飛び回っていることが多く、アブラコウモリにとってはいい食事場所になる。荒川などは河川敷に樹木があるのでアブラコウモリを観察できるが、小名木川も竪川も樹木はほとんどない。
アブラコウモリには人気がなさそうな川だが、まったくいないということでもない。アブラコウモリが来る理由を探るのもこの探索行の目的である。
一之橋に到着。さっそくアブラコウモリの超音波が聞こえたがすぐにいなくなってしまう。おそらく竪川あるいは道路を移動経路として使っているのだろう。川や運河や道路は障害物がないためまっすぐ飛びやすいのだ。だが通過するだけなので観察できるかどうかはタイミング次第、運次第になってしまう。
写真は一之橋から竪川水門を見たところ。
この写真は塩原橋から東を見た眺め。上空を高速道路がふさぎ、左右はビルがふさいでいる。これがずっと続く。
さらに進んで二之橋でも短時間だけ超音波を確認。竪川でアブラコウモリを確認できたのはこの2ヶ所だけだった。
ところで竪川には川沿いに遊歩道があるのだが、場所によっては遊歩道に入れない区間があった。遊歩道はあるのにもったいない。それにアブラコウモリの観察ができないではないか。
途中、竪川を離れて南へ向かう。中和公園に行くためだ。この公園は緑がまったくない地域の中にある。中和公園も木が多いわけではないが確認しておきたかった。行ってみるとアブラコウモリはいた! すぐ隣に学校のプールがあるのも好条件だったのかもしれない。
竪川に戻る。間もなく大横川との交差点に着く。竪川はここでおしまい。南方向は大横川、北方向は埋め立てられて大横川親水公園となっている。このまま東へ進みたいが、なにやら工事中で入れない。ぐるりと回って新辻橋へ行くが、そこまで工事中だった。「橋」と書いたがここからは川はなく、かつての橋の名前が残るだけである。
ここからの高架下は竪川親水公園(墨田区)となる。高架下を進んで行くが、四之橋は高速道路の出入り口になっているためその前後は高架下に入れない。あきらめて猿江恩賜公園に向かう。この辺りの高速道路の南側は江東区になる。
猿江恩賜公園ではアオマツムシが鳴いていた。この公園の樹木量ならアブラコウモリがいるのは当然である。公園内に入った途端、超音波が聞こえてきた。時間がなさそうなので公園の北半分を回っただけだが3ヶ所で記録できた。テニスコートは営業中であかあかと照明に照らされていたがアブラコウモリはいなかった。電撃殺虫器が設置されているので虫はいるのだろうが今日は電撃は反応していなかった。
写真は猿江恩賜公園から見たスカイツリー。今日のコースは前回の小名木川よりスカイツリーに近いのだが、ビルの密度が高すぎてほとんどその姿を見ることはなかった。
公園を出た先が松本橋。再び竪川親水公園に戻ってきた。この橋、トラス橋である。高架下に鉄骨で組まれた橋がびたっと収まっているというのもなんだか奇妙な風景である。この橋の東側には水がない水路があり、その先で横十間川が交差する。横十間川にかかる旅所橋では南風が涼しい。
ここから高架下は竪川河川敷公園になり、完全に江東区となる。河川敷? 河川敷ではないと思うが、墨田区側と名前がかぶらないようにした窮余のネーミングなのだろうか。ここには水路はあるが、浄化されていそうな感じ。きれいな水には虫は生息しない。よってアブラコウモリも来ないような感じだ。
少し進むとJR貨物線の鉄橋がある。これもトラスである。先に鉄橋があって、その高さに合わせて高速道路ができたということか。その先には水道橋があった。さらに先でアブラコウモリを発見。ちょうど街灯で明るいところだったため目視で確認できた。ちょうど水路の末端で池のような場所の上を飛んでいるのが見える。
途中、竪川河川敷公園を離れ、大島六丁目団地に向かう。団地の真ん中にちょっとした林があるのだか、ここは樹木の密度がそれほどでもないようでアブラコウモリはいなかった。前回の北砂5丁目団地の方が高密度だった。
竪川河川敷公園に戻るとフットサル場がある。この辺りは水路が無い。先に進むとまた水路が復活する。その先で、地面に何やら緑色の塗装がされているエリアがある。何の競技か?…と少し考えてバターゴルフ場だとわかる。その先の水路は水がほんの少ししかないように見えた。が、その途中でアブラコウモリを確認。街灯があるので目視確認もできた。こういう滞留した水は虫が発生しやすいと言える。旧中川ももう近い。このアブラコウモリは旧中川流域を活動圏にしているのかもしれない。
新六之橋のところで竪川河川敷公園は終わる。ここまで車道に面した所には22時閉門の表示があって少しあせっていたが、まだ30分も残していた。竪川河川敷公園でのアブラコウモリ確認は2ヶ所だけだった。
高速道路が左に曲がり、ようやく高架下から出るとそこは旧中川、虹の大橋である。ここからは江戸川区になる。虹の大橋ではアブラコウモリを確認。この後、旧中川河川敷でも確認できた。虹の大橋は幅が広すぎる橋である。普段は車は通れないのに。緊急時に車を通すとしても幅広過ぎる。地図ではそれほどには見えないが、実際に橋の上に立つとかなり広いと感じるだろう。
旧中川河川敷を南下していき、もみじ橋、さくら橋の下をくぐる。この橋は地図で見ると陸上競技トラックのような形をしている。上に登ってトラックを1周してみたいが出発から既に3時間オーバー、暑くてそんな元気もない。
東大島駅に到着。今日はこれで終了。
今回は予想通りアブラコウモリを観察できた場所は少なかった。猿江恩賜公園のような大きな緑地ならアブラコウモリは生息可能である。緑地ではなくても虫がある程度いるならばアブラコウモリはやってくる。アブラコウモリはそういうスポットを知っていて、巡回しているのかもしれない。巡回の移動経路として道路や川、運河は障害物を気にせず通行できるので便利なはずである。住宅地ならその屋根の上を飛ぶこともあるが、竪川流域のようにビルが立ち並ぶ地域ではどうだろうか。アブラコウモリの飛行高度はどれくらいになるのだろうか。
日没時刻 18時26分
観察箇所数 12
歩行距離 11.8km
歩行時間 約3時間15分
気温 32℃→28℃
筆了2025年8月28日