東京コウモリ探検隊! 探索録

2025年09月06日の巻

2025年09月06日(土)

前日、台風15号が急速に通過していった。おかげで気温は落ち着いた。
今日は珍しく土曜休み。明日日曜はやや早めの仕事があるが探索に行くことにする。

今回は中央区を探索する。が、中央区はビルが多く緑地が少ないためアブラコウモリの生息が難しいことはわかっている。しかし少ない緑地にアブラコウモリが来ることもわかっているのでそういう場所を巡っていくことになる。1周目の時の記録が役に立つ。

まず向かうは十思公園。小伝馬町駅のすぐ近く。以前、この近くに仕事の現場があったし、小伝馬町駅も利用したことはあるのだが十思公園に来たのは初めて。鐘が高く吊られているのが不思議な景色である。日没時刻から10分間待つがアブラコウモリは現れず。樹木はあるが狭いか。

次は南へ向かう。近くに蔦屋重三郎の店、耕書堂の跡地があるが今回は寄り道しない。10分ほどで堀留児童公園に到着。ここは2016年に来ている。だが前回とは何となく違う。もっとスカスカした感じだったはずだが…。よく見るとベンチが新しい。新しい木もあるようだ。他もGoogleマップの航空写真と実物が一致していないではないか。小さな水路は新しくできたもの。遊具も新しいものがある。比較的最近改装されたということだ。ここでも10分間待つがアブラコウモリは現れない。前回は観察できたのだが。

それにしてもこの辺りはパーキングメーターが多い。ほとんど知られていないことだがパーキングメーターは超音波と赤外線を併用して駐車している車の有無を確認している。超音波は25kHzで低めなので「チキチキチキ…」という音が聞こえる人はいるはず。だがそれは全体の数%もいないのではないか。宮本隊長は聞こえない。超音波が聞こえる人にとってパーキングメーターは非常にうるさいらしい。パーキングメーターは複数台が並んでいるので大騒音になってしまうのだ。

次は道路に沿って東へ。ずっと歩いていくと小学校がある。そこから南へ進むと浜町川緑道がある。ここは初めて。樹木はあるし小さな池もあるが、アブラコウモリはいない。
ここまで3ヶ所の公園・緑道は同じメッシュに含まれているが、アブラコウモリが来そうなのはこの3つだけなのだ。うーん、絶対来ないとは言い切れないのでいずれまた来ることを考えた方がいいのかもしれない。

東に向かうと浜町公園がある。露店も出ていてにぎわっている。ちょうどお祭りの日だった。しかし宮本隊長の関心はそこにはない。公園の南西端に仮設の建物が建っている。けっこう大きい。工事の事務所にしては大きすぎる。公園で工事をしているわけでもない。近くに高層ビルの建築現場があるわけでもない。ということは学校?と思ったが教室にしては窓のつくりや向きがが変に思えた。建物の北側に出た所に正解が表示されていた。中学校の仮校舎でした。そう言われるとなるほど。
その少し先が公園の正面入口。前回ここに来た時のことはよく覚えている。それは2016年8月のこと。スマホのゲーム「ポケモンGO」がリリースされてすぐの頃だった。浜町公園の入口に着くとそこには20人以上はいただろうか。夜の公園でいったい何事かと思った。ま、まさかみんなアブラコウモリを探しているのか?!…なんてことはありえず、みんなスマホをのぞき込んでいる。上空を見上げているのは宮本隊長だけ。みんなが何をやっているのかはすぐにわかった。この週は当時勤務先があった品川でも夕方に品川駅港南口で大勢がたむろしている光景を見ていた。何かの集会ではなく個別にばらばらに何かをやっている姿は奇妙な印象だった。それが浜町公園でも出現していた。この時思ったのは、「ポケモンGOプレーヤーの1%でもアブラコウモリ探索に協力してくれればあっという間に調査は完了できるのに」ということだった。アブラコウモリ探索は宮本隊長ひとりだけでやっているつもりはない。が、アブラコウモリは知名度も関心も非常に低いためほぼひとりで何年も歩いている。
さて今年。その正面入口から少し入ったところでアブラコウモリを確認。前回とほぼ同じ場所である。お祭りのにぎわいを通り抜けて公園を出て、隅田川に向かう。ここで満月をようやく見ることができた。そう言えば今晩は皆既月食。だが深夜0時を過ぎてからなので見るつもりはない。明日も仕事なのでそんな余裕はない。
隅田川テラスを南下していくとドッグランがあったり消防艇があったりした。

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写真は隅田川に小名木川が合流する地点。右が隅田川の清洲橋、左は小名木川の萬年橋。
さらに進んでいくと工事中で行き止まり。確かに工事中の案内はあったがここから脱出することができない。仕方なく清洲橋まで戻る。そこからは普通に道路を歩いて南下。隅田川大橋辺りからもテラスに行くことはできない。またぐるりと迂回せざるをえないが、ここではそれが正解だった。
迂回路には箱崎公園がある。初めて来る場所。だが樹木の量も密度も足りない…。期待はしたがアブラコウモリはいなかった。

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箱崎公園の正面にはでかいビルがあり、ビルの前に大きな木が1本立っている。脇にも高木が林立している。そこを通過しようとすると超音波が聞こえてきた。こっちにいたのか! このビルはMSH日本橋箱崎ビル。巨木の大きさからすると30年以上になるのではないか。樹形が整っているところを見るとちゃんと手入れされているようだ。この高さの木を手入れするのはかなり大変なはず。アブラコウモリはこのビルの樹木と箱崎公園の樹木、両方があってこそ生息できるのだろう。近隣の樹木も生息圏になっているはずだ。

南へ進むと日本橋川になり豊海橋を渡る。さらに進んで隅田川の永代橋。ここから隅田川テラスに降りて南下。が、これは失敗だったか。堤防の上の街路樹の方が良さそうな感じである。階段を登り、すぐ近くにある緑地に入るとアブラコウモリの超音波を確認。やはりこっちだったか。場所は東京住友ツインビルディング2棟にはさまれた小さな緑地。街路樹を含めた周辺の樹木群が生息圏ということか。でも正面にはもうちょっと樹木を増やしてほしかった。

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写真は隅田川テラスから見た月島北端の高層マンション群。湾岸マンション群の象徴的な風景。右端でライトアップされているのが中央大橋の塔。

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次は中央大橋。ここは2014年に来た時、ライトアップされた上空をアブラコウモリが飛んでいるのを目撃した。今回も期待したが、残念ながらいなかった。いつもいるわけではないのか…。

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また隅田川テラスに降りて進むと「霊岸島検潮所・量水標跡」がある。と言っても実用性は無さそうなオブジェにしか見えないのでスルー。それよりもすぐ近くに一等水準点「交無号」があることに後から気づいて、その方が残念だった。

また上に登り、南高橋を通過。南下して湊公園から隅田川テラスへ降りる。月はいつの間にか雲に隠れている。佃大橋をくぐった所で堤防の上に登る。堤防上の方が樹木が多いようだ。それにしても先ほどから気になるのが対岸の月島に見える超高いビル。明かりがついていないので工事中だとわかるが真っ暗なので不気味に見える。何のビルだろう。
明石町河岸公園でアブラコウモリの超音波確認。樹木の密度が高い。ここは聖路加タワーの足元である。さらに進んだところでも確認できたが、その隣は何だろう? 高い塀に囲まれている。どうも古い建物があるようだ。看板があるがテラスからはよく見えない。調べてみると「つきじ 治作」という料亭。樹木、池がありアブラコウモリが来そうな場所だ。先ほどの超音波はここから聞こえたのだろう。

はとば公園で隅田川テラスを離れ、今度は上流に向かう。航空写真を見ると大きなビルの間に大きな三重丸が見える。それを確認したかったのだ。ビルとビルの間にゆるやかな坂道がある。そこを登っていくと…。

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見ての通りの三重丸。写真の奥には例の真っ暗な超高層ビルが見えている。この三重丸はビルの敷地内の公開空地ということだった。奥は滝になっているようだが水は流れていなかった。ここでもアブラコウモリの超音波を確認。車道に戻り先に進むと「つきじ 治作」の正面に出るが、建物が高い壁になっていて中の様子はまったくわからない。
ここからは内陸に向かう。まずあかつき公園。アブラコウモリはいない。次は聖路加国際病院の前庭。トイスラー記念館がある辺りである。ここは前回2016年にアブラコウモリを確認できたのだが今回はいない。うーん、残念。その西が築地川公園。名前の通り、川、というより水路を埋め立てた細長い公園である。しばらくうろうろしてようやく超音波を確認。ここは前回2016年も確認できている。
築地川公園が含まれるメッシュは銀座のエリアなのだが、他にまとまった緑地はなく、ここ築地川公園が唯一のアブラコウモリの行動圏である。北隣りのメッシュは大手町・八重洲のエリアで、こちらも緑地がほぼ無くアブラコウモリの生息は難しい。アブラコウモリは都市動物だがまとまった樹木群が無いと生息が難しいというのは今回の探索からもよくわかる。東京駅東側エリアはまとまった緑地を作った方がいいのでは、と提案したい。
築地川公園から聖路加タワー、つきじ治作あたりまでは緑地が狭い範囲にまとまっておりアブラコウモリが生息できる環境が整っていると言える。こういう緑地は大切にしたい。

近くのメトロ日比谷線・築地駅へ行き、今日の探索は終了。

日没時刻 18時02分
観察箇所数 8
歩行距離 10.6km
歩行時間 約3時間30分
気温 29℃→28℃

筆了2025年9月29日

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