東京コウモリ探検隊! 探索録
2025年10月13日の巻
2025年10月13日(月)
先週の台風22号に続き台風23号が南海上を通過。今日は風が強いか?と心配したが問題なかった。
世間では3連休とかいう異世界ファンタジーだったらしいが、こちらは土曜日曜と現場仕事。気温は十分下がったので体力的にはずいぶん楽になった。
10月になると天気予報の気温をにらみながらアブラコウモリ探索に行けるかどうかを決めることになる。アブラコウモリは気温15℃が活動限界だが15℃でぴたっと活動をやめるのではなく、実際には20℃を下回ると明らかに活動量が減少していく。日没時刻に20℃以下のようなら探索に行っても成果は少ない。天気予報アプリは1時間単位で気温が表示されるのでとてもありがたい。今日は気温はまだ高そうだ。
今日は古隅田川(ふるすみだがわ)を歩く。アブラコウモリは淡水環境を好むため、探索では川、池が特に重要な観察場所になる。探索の1周目で23区のほぼすべての川を歩いたが古隅田川は一部しか歩いていなかった。ただ、古隅田川は細い水路と暗渠なのでアブラコウモリはあまり期待できない。観察ゼロもありえると予想した。水の量が少ないと発生するユスリカ等も少なくなりアブラコウモリは来ない。暗渠はそもそも水が見えず、地上に多少植物があっても昆虫を大発生させるほどではなくとにかくアブラコウモリには人気がない。
古隅田川は中川と荒川をつなぐ川である。西側は流路はわかるが東側は暗渠のようで地図を見てもよくわからない。ネットに地図が載っていたのでこれを利用することにする。今回は大部分が初めてのルートなので予習はしておかねばならない。古隅田川は足立区と葛飾区の境界でもあることが地図からわかる。みにくい領土紛争などやっていないだろうかと心配になる。
出発は綾瀬駅。東口を出て少し東に川、というか暗渠がある。ここが古隅田川。上が駐輪場になっている。駐輪場はゆるくカーブして細長く続いており、そこが暗渠だとわかる。この駐輪場は足立区の管理らしい。駐輪場を抜けると広い車道が南下している。ここも暗渠。進んでいくと開渠に到達する。西に進んで白鷺公園に入るがアブラコウモリはいない。
ここで川を離れてさらに南下する。少し緑地があるようなのでそちらも確認しておきたかったのだ。小学校、中学校付近を歩くがアブラコウモリはおらず。次は西に向かう。その方向にはとてつもない高台が見える。高い構造物は水再生センター。その屋上が小菅東スポーツ公園になっている。公園には樹木もあってアブラコウモリがいそうだがこの時刻ではもう閉まっている。
水再生センターの西側を歩いているとアブラコウモリの超音波が聞こえた。敷地内を飛んでいるようだ。さらに北上して行き排水場、これが古隅田川が綾瀬川に接続するところなのだが、その少し先から東に曲がり古隅田川に出る。綾瀬川の西岸にも離れたところに古隅田川が流れているが、そちらは過去に歩いたことがあるので今回は省略。

古隅田川はこのような感じ。iPhoneだと明るく撮れるが実際はかなり暗い。ここから白鷺公園までは以前にも歩いている。この区間は遊歩道が整備されている。途中、樹木が多い所でアブラコウモリを確認。だが白鷺公園から先は最終盤までアブラコウモリは観察できなかった。
業務スーパーから先は川というより小さな浅い水路になっている。水量は少なく、とてもゆっくり水が流れている。
古隅田川を進んでいくと、コイ1頭がいるのを発見した。この狭い人工の水域にコイが生きているというのも不自然で、当然ながらこのコイはヒトが持ち込んだもの、そして誰かがエサを与えているとしか思えない。それにコイは雑食性。狭い水域だと動物も植物も食い尽くしてしまうのは必至。これでは水辺環境は壊滅してしまう。コイは必要だろうか?
古隅田川沿いの途中の公園にも寄るがアブラコウモリはいない。
開渠はJR線路と交差する手前で終了する。ここからは地図頼りになるが、続く歩道の下が暗渠になっているようで地図を見なくても迷うことはない。車道より歩道が不自然に盛り上がっている箇所があり、昔の川の地形が残っているのではと思われた。

途中、道路脇の公園に入ると水のない池、そして…鬼ヶ島?! いや、島じゃないけど。この鬼の口から水が流れ出し、水路を通って池に入るということらしい。今は水はまったくなく、おそらく夏だけ水を流しているのだろう。水路には龍が、池には、えっと、よくわからない生物のオブジェがある。公園の名前は下河原公園。ネットで調べると別名、鬼公園なのだそうだ。子どもたちは「鬼公園行こうぜ!」とか言っているのだろうな。
公園のすぐ先で古隅田川はJR高架下に吸い込まれていく。川をふさいで線路が敷かれたということだろうか。これでは暗渠を追跡できない。
広い道路と交差した先の中学校の手前で古隅田川は突然北に方角を変える。これは流路地図を持っていないとまずわからないだろう。現地は歩道に小さな水路が、ただし水がちょっとたまっているだけの水路があるのでここが川だったとわかる。その先も歩道が続いており、それが川なのだとわかるようになっている。他の道路には歩道がないのだ。
途中、川を離れて西沼公園に行く。ここには池があるのでアブラコウモリがいるかもと期待したがいたのはネコ3頭だった。

古隅田川ではよく見ると交差点に石柱があり、橋の名前が彫られている。ここが川だったという証人である。
古隅田川の北側には建物1軒分を隔てて車道が並行して走っている。これは川に沿って作られた旧道のなごりだろうか。
広い道路に出る。ここは曳舟川だった場所。今はおそらく暗渠と思われる。曳舟川と古隅田川がほぼ直角に交差する地点である。自然界では川の直角交差はまずありえないのでどちらかが人工の水路と推測できる。流路が真っ直ぐな曳舟川の方が人工なのだろうと思われるが、古隅田川もけっこう不自然な感じがする。
ここからは古隅田川は車道がなく歩道のみの区間があったりと細くなる。南を見ると亀有駅あたりの明るい光が見えている。だが今日はまだ先がある。細い道を通り抜けると環七通りに到達。この先は中川まで続いているがアブラコウモリがいそうな様子ではないのは地図で見ても明らかなので遭遇確率がずっと高そうな中川公園へ向かう。
途中の大谷田南公園は…中に入れない! 照明もついているのにどうして?と思う。この公園はいわゆる交通公園なのだが、後で調べるとミニ列車を運行しているらしい。ならば夜間閉園もやむなしか。
公園の北はずっと何かの工事が続いている広大な土地。いつまで工事が続くのだろう? 下水道局と何か関係があるようだが説明の表示などがまったくないのでまるでブラックボックスである。
中川公園ではまず広場を1周、野球場外周を1周、森の中を通り抜けて中川水再生センターの北へ。ここも水再生センターの屋上が広大な緑地公園になっているが夜は入れないので西側の広場へ。アブラコウモリはまったくいない。2018年に来た時はあちこちで観察できたのに。中川公園全体の樹木量は十分すぎるほどなのでアブラコウモリは間違いなくいるはずなのだが季節が遅かったのか時刻が遅かったのか場所が悪かったのか。いずれまた来るだろうがかなり残念な結果となった。
中川公園を出て、環七沿いを歩き出したらアブラコウモリの超音波が短時間だけ聞こえた。ここは例の広大な工事土地の外周で、樹木が残されている場所。ここにいたか…。そしてこれが今年最後のアブラコウモリ観察となった。
あとは亀有駅に向かうだけである。亀有駅には全国的に有名な派出所、全国的に有名なキャラクターの像があるがいろんなヒトがすでに撮ったり語ったりしているだろうから省略。
さて、来週以降だが今後は本格的に気温が下がる予報。最高気温が20℃以下ではアブラコウモリの活発な活動は望めない。今年のアブラコウモリ探索は今日が最後となりそうだ。
日没時刻 17時09分
観察箇所数 4
歩行距離 12.7km
歩行時間 約3時間30分
気温 22℃→20℃
筆了2025年10月21日
追記・その翌週の巻
翌週10月20日(月)は代休だったが最高気温が20℃に届かなかったので探索は無し。さすがに寒すぎる。
翌21日はいきなり冬が来た。
日中は15〜16℃という冬の気温。この日は午前0時が最高気温だった(※)。「午前0時が最高気温」というのは年に何回か発生する現象で、日中の気温が予報の最高気温より低くなるため予報が外れたように感じてしまう。実際は予報通りなのだが。その次の22日も午前0時が最高気温で、なんと2日連続となった。これは珍しい記録ではないだろうか。
※気象庁のデータによる。1時間ごとの計測ではこの通り。10分ごとの計測では午前0時気温を上回る時刻もあった。
この後は気温が高い日はほとんど無い予報だったので今年のアブラコウモリ探索はこれで終了と決めた。
