エコーロケーションと動物の超音波

エコーロケーション(反響定位)

エコーロケーション(echolocation)とは、動物が音を発し、その反射音で対象物の位置と距離を知ることです。
エコーロケーションを使用する動物の代表はコウモリ類とイルカ類です。

翼手目(コウモリの仲間)の内、小型コウモリ類がエコーロケーションを使用します。オオコウモリ類は超音波は使っていません。
小型コウモリ類は飛びながら超音波を発し、空を飛ぶ昆虫を発見、それを捕獲し食べます。また、障害物も超音波で認識できます。

クジラ目の内、ハクジラ類(いわゆるイルカ類にほぼ相当する)は超音波を発して、食べ物になる魚などを探すことができます。

コウモリの超音波の周波数

コウモリの超音波の周波数は種によって違っています。以下、一部の例ですが、これはWikipedia「コウモリ探知器」からのコピペで、そのWikipedia記事が参照したのは「『コウモリウォッチングガイド』 前田喜四雄監修・ナチュラリストクラブ制作」とのことです。意外と資料が無いんですね…。
数値はピークの周波数で、実際にはさらに広い音域を発声しています。

コキクガシラコウモリ 110kHz
キクガシラコウモリ 68kHz
モモジロコウモリ 40〜60kHz
アブラコウモリ 40〜50kHz
ヒナコウモリ 20〜25kHz
ヤマコウモリ 20〜25kHz

ヒナコウモリ、ヤマコウモリは20kHz以下の超音波も発声しており、耳でも聞こえる人はけっこういそうです。

昆虫の鳴き声と羽音

昆虫はエコーロケーションは行なっていません(多分)。
以下の周波数は昆虫の鳴き声のもので、宮本がバットディテクターでだいたいの範囲を計測したものです。

半翅目(セミの仲間)の鳴き声

ニイニイゼミ=20〜30kHz 近くだとかなりうるさい。
アブラゼミ=13〜20kHz
ミンミンゼミ=20kHz前後
ツクツクホウシ=20kHz前後 「オーシンツクツク」の「シン」の部分だけ超音波で聞こえる。

上記の数字はピークの周波数で、実際にはもっと高周波数でも聞こえています。アブラコウモリ探索中でもバットディテクターからは聞こえてくるので50kHz以上の音も含まれるようです。

直翅目(バッタ、キリギリス、コオロギの仲間)の鳴き声

クビキリギス=40kHzをピークに幅広い音域で鳴いている。非常にうるさい。クビキリギスは特別。

一般にキリギリスの仲間は超音波の領域で鳴いています。ですので、人間にはまったく聞こえない音域で鳴いている種もいます(バットディテクターがあると存在に気付きます)。

コオロギの仲間は超音波はほとんど出していません。

羽音

2015年のある日。アブラコウモリ探索の途中、街灯のない真っ暗な場所を通らねばなりませんでした。すると、小さな緑色の光がふわりと飛んでいるではありませんか! えっ、杉並区のこんなところにホタルがいるなんて聞いたことないよ! と思いながらホタルを観察していると、手に持っていたバットディテクターから「ブーーー」という音が聞こえてきます。バットディテクターをたまたま正面に構えていたためホタルの羽音をとらえることになったのでした。ホタルの羽音が超音波であることが偶然にもわかったのです。アブラコウモリの探索中だったのでバットディテクターは45kHzにセットしてありました。

その他の昆虫も羽ばたいている時に音を出しているのは確実です。その音域は可聴音から超音波まで種によってさまざまででしょう。

一般的に言うと

一般的には、動物が出す音声の音域と、その動物が聞くことができる音域は重なっています。
鳥やコオロギは人間の耳にもよく聞こえる音声を出しています。超音波はほとんど出していないようです。

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