私たちのまわりにある超音波レーダー

超音波レーダー

超音波レーダーとは、エコーロケーションを行なう装置のことです。動物が行なうエコーロケーションと同じ原理を使用しています。

「超音波センサー」という言い方もありますが、これだと「パッシブ・センサー」(まわりからの音を受け取るだけ)と間違われてしまいそうです。実際には音波を発生しており、これはレーダーと同じ仕組みです。よって、「超音波レーダー」と呼ぶ方が適切だと思います。

「ソナー」は水中で使用するエコーロケーション装置のことです。空気中の場合は普通は「ソナー」とは言いません。

「ソーダー」は空気中で使用する音波レーダーのことです。実質的には「ドップラーソーダー」のことを指します。ドップラーソーダーとは音波を使って上空の風速を観測する装置で、ウィンドプロファイラとも呼ばれます。ドップラーソーダーが使用する周波数は可聴音域の範囲で、超音波は使っていません。
風速の計測では電波を利用したドップラーレーダーの方が主流のようです。

ドップラーソーダの実例(日本気象株式会社のページ)
「周囲に音を出すため、測定機から周辺500mに民家が無いことが条件となります」とのこと。けっこううるさい音がするのでしょうか?

ウィンドプロファイラ(気象庁)
気象庁のウィンドプロファイラは音波は使用していないようです。

パーキングメーター=路上駐車場

超音波騒音

私たちの身近にある超音波レーダーのひとつがパーキングメーターです。
道路の脇に立っている小型の精算機が超音波を出しています。赤外線も併用しているそうです。
使用周波数が25kHzと低いので、聞こえる人がいるかもしれません。パーキングメーターは1台だけではなく、何台も連なっているものなので、この超音波が不快に聞こえる人にとってはかなりの面積の場所が進入不可能になってしまいます。

東京都のパーキングメーターの地図(警視庁)
東京都千代田区・中央区・港区などでは非常に多数のパーキングメーターがあることがわかります。

パーキング・メーター 仕様書(案)(警察庁)
「(案)」となっていますが、最終仕様もほぼ同一と思われます。
「7.2 感知機能
(1) 少なくとも2つの方式で、駐車枠内に駐車した車両の存在を自動的に感知する機能を有すること。」
とあるので、超音波と赤外線の両方を使う必要があるようです。

駐車場の出入口

駐車場(コインパーキング)の出入り口に超音波レーダーが設置されていることがあります。
36kHzが使用されている例がありましたが、他の周波数の場合もあるかもしれません。

フラップ式(車の下の板が持ち上がるタイプ)では超音波は使用されていません。

自動ドア

超音波騒音

超音波レーダーを使用する自動ドアは非常に少ないです。見つけるには苦労します。
私が知っている例では、ドアが閉まっていると超音波が停止します。そのため私が見逃している箇所があるのかもしれません。 周波数は40kHzです。

円形自動ドアで使用されている例があります。その実例です(ナブテスコ株式会社)
二重自動ドアでも一重自動ドアでも使用されている例があります。

自動車

自動車の近距離障害物探知用として超音波レーダーが使用されています。車庫入れの時など、壁などに接近しすぎると警告音が鳴るシステムがそれです。

ベンツ、日産、ボルボ、フォルクスワーゲンではバットディテクターでもはっきりと超音波を聞くことができます。いずれもヨーロッパ系であるのが共通点です。同じシステムを使用しているのかもしれません。
他社ではバットディテクターで超音波が聞こえませんが、これは音量が小さいからではないかと推測されます。

超音波レーダーは前後のバンパーに埋め込まれていて、小さな円形の部品として見えています。近くからなら肉眼で簡単に確認できます。

超音波レーダーは一般に停止時・低速時だけ作動します。ですので、交差点(停車中の自動車からなど)、渋滞の車列、駐車場・車庫付近でよく遭遇することになります。超音波が突然聞こえて、突然聞こえなくなる場合が多くなるため、発生源がよくわからないことになるかもしれません。

なお、すべての自動車に超音波レーダーが搭載されているわけではありません。

クリアランスソナーSystem 構造と作動
URLが怪しげですが、トヨタ車の超音波レーダーの技術資料らしいです。感知距離は約50cm以内とのことですので、音量はかなり小さいようです。バットディテクターで聞こえない理由はこれで説明できそうです。(目の前に停まったトヨタ車からの超音波をバットディテクターで確認することはできました。)
ベンツや日産などの超音波レーダーの感知距離は5m〜10mはあるのではないかと思われます。

※2015年時点で私(宮本)が超音波レーダーを確認したのは、日産、トヨタ、ベンツ、ボルボ、ファイルルクスワーゲン、ポルシェです。遭遇頻度が最も高いのはベンツです。ベンツの台数は少ないはずですが、「輸入車の中ではシェアが高い」ことと「超音波レーダーの搭載率が高い」ために遭遇確率も高くなっていると思われます。ベンツの次に遭遇率が高いのは日産です。
(ベンツは前方だけに超音波を発しているのかもしれません。)

超音波式車両感知器

超音波騒音

車道の真上に設置されている超音波レーダーです。25kHz前後。車両が下にいるかどうかを感知します。ですので真下にいるとかなり超音波がうるさく聞こえます。
「狭い道路から広い道路へ出る所」に設置してあることが多いようです(杉並区で複数確認)。つまり、大通りに出ようとする車を感知して信号を切り替えるのでしょう。
千代田区大手町では信号機とは関係なく広い道路に設置されている場所がありました。これは交通の混雑度を調べているのでしょうかね。

歩行者感応式音声付押ボタン装置

横断歩道に設置してある装置で、「盲人用」と表示されています。40kHz。ボタンを押すと青信号になった時に音声でしらせてくれる装置のようです。超音波がなぜ必要なのかはっきりとわかりませんが、赤信号に変わりそうな時に横断する人がいると、音声で警告してくれる…ということらしいです。

水位警報機

神田川で2ヶ所、妙正寺川で1ヶ所、超音波を使った水位警報機があります。神田川水系には他にもあるかもしれませんが全流域を歩いたわけではありませんので確認できていません。超音波以外の水位警報機も多数設置されているようです。

超音波は雨の音や水の流れる音(例えば増水時の音)でかき消されやすいので、必要とされる時にちゃんと機能するのかちょっと心配ではあります。

Pepper (ロボット)

Pepperはソフトバンクが販売するロボットです(2015年発売)。Pepperの下部に超音波レーダー(仕様上では「ソナーセンサー」という名称)が設置されています。前方と後方に1台ずつあります。周波数は40〜45kHzぐらいです。

※Pepper開発者にお願い:超音波レーダーはできれば超音波を使わないレーダーに置き換えてください。この音は超音波が聞こえる人にはちょっとつらいものだと思われます。少なくともスリープ状態の時は超音波レーダーを停止させてください!

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