東京都心部(港区・新港南橋)で冬も活動するアブラコウモリ群の定点観察(2017-2018年)

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執筆:宮本 拓海 (東京コウモリ探検隊!)
2018年4月


■1.前文

2017年、東京都心部で冬でも活動するアブラコウモリ群を発見した。

小型コウモリの多くは冬眠をすることが知られているが、洞穴を利用する種以外での冬眠の詳細についての研究は非常に少ない。コウモリは冬眠期間中でも中途覚醒するが、その実態についても観察例はほとんどない。アブラコウモリもそうした種のひとつである。

この調査研究の当初の目的はアブラコウモリの冬眠期間を調べるというものであった。ところがアブラコウモリは厳冬期も活動を続けていた。
このアブラコウモリ群も当然、冬眠はしているのだが、中途覚醒して活動する様子をたびたび観察することができたのである。

この報告書ではその経緯と観察結果を報告する。

※注:「冬も活動する」というと「どんなに寒い日でもアブラコウモリが多数飛んでいる」ように想像されるかもしれないが、実際には本当に寒い日は活動しないし、活動する日でも1頭が短時間活動するだけのこともある。それでも普通なら冬眠期間のはずの時期であり、珍しい現象であるのは間違いない。

※注:「冬も活動する」というと「地球温暖化」や「ヒートアイランド現象」と結び付けられがちだが、この場合はまったく関係はない。

※注:気象庁のデータは下記ホームページから得ている。 地点は「東京都 東京」を使用している。
気象庁「過去の気象データ検索」 http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php

■2.当初の目的と観察地点の選定

アブラコウモリは冬眠をする。しかしその期間については詳しくわかっていない。
東京コウモリ探検隊!の観察結果からは、活動を終えるのは11月前半頃ということはわかっていたが、春の活動開始時期はよくわからなかった。確実に活動を開始するのは5月前半だが、実際はもっと早くから活動しているはずである。

この調査研究の当初の目的は、アブラコウモリの冬眠期間を調べることだった。冬眠期間がわかれば春の観察に役立つはずだからである。

品川駅から東へ行ったところにある新港南橋(港区港南1-6-41)の西岸はこれまでに発見した多くの観察地点の中でも最も特異な場所であった。
最初に訪れたのは2014年8月、次に訪れたのは2015年8月だったが、2015年の時は20頭以上のアブラコウモリが乱舞していて驚かされた。 というのも、海水環境にコウモリが集まるということはまずないからである(橋がかかる高浜運河は完全に海水)。
小型のコウモリのほとんどは飛翔昆虫を食べている。だが昆虫は海水には弱く、淡水環境でしか生息できない。つまり海水環境にはコウモリの食べ物は無く、コウモリが積極的に集まってくることはないはずである。
水環境とは関係なく樹木などの植物を利用する昆虫は多いが、新港南橋付近には緑地はほとんど無く、多数のアブラコウモリを養えるほどの昆虫の大量発生は不可能である。
海水環境に耐えて生きていける昆虫もごく少数いるが、付近の運河一帯で多数のアブラコウモリが集まってくる場所は他にはない。新港南橋だけに特殊な昆虫が生息しているとも考えにくい。
海水環境にコウモリが集まるのには理由があるはずだが、当時はまったくわからなかった。このような謎があるため、私はここを「特異点」と呼ぶことにしていた。

新港南橋は私の勤務先の近くにある。観察場所までの移動に時間がかからず、安定して多数のアブラコウモリを観察できそうな場所は定点観察に適していると言える。
そのことに気づいた2017年4月、さっそく会社の帰りに行ってみるともうアブラコウモリは飛んでいた(4月19日)。4月に目撃できるというのは観察場所としてはかなり優良である。秋にも観察を続ければいつ冬眠開始するのかが正確にわかるはずである。
そして10月から観察を再開した。

■3.観察の経過

日付 時刻 頭数 気温(実測) 気温(気象庁) 水温
10/18 18時20分
3+
14.1
10/19 18時20分
0
11.5
小雨
10/23 17時05分
3+
18.4
台風21号通過後
10/25 18時13分
2
14
13.0
降雨
10/26 18時18分
20+
18
14.5
10/27 17時20分
20+
21
17.7
10/30 18時16分
0
15
13.0
台風22号通過後。木枯らし1号
11/2 16時40分
32+
21
18.7
11/6 18時25分
30+
21
15.8
11/7 18時12分
30+
21
17.8
11/9 18時22分
0
16
14.0
11/10 16時34分
10+
18
15.8
11/13 16時48分
10+
18
15.1
11/16 18時16分
3+
15
12.0
11/17 16時56分
3+
15
11.6
11/20 18時27分
2+
13
6.7
11/22 17時16分
1
13
9.7
一時小雨
11/24 18時45分
1
15
8.7
11/25 16時56分
3+
17
10.1
11/28 16時55分
7+
17
13.6
11/29 17時38分
13+
18
16.2
11/30 18時18分
2
13
9.7
直前まで小雨(傘は不要)
12/2 16時39分
0
16
7.5
22
2時間待ったが出現せず
12/6 17時45分
0
13
6.6
22
12/7 17時14分
1
13
6.7
21
観察開始から2分後にいなくなる
12/8 18時24分
0
11
7.5
21
降雨
12/10 17時33分
3+
14
11.7
21
12/11 16時54分
3+
16
13.3
21
12/12 18時25分
0
12
8.1
20
12/15 17時12分
0
12
5.0
21
12/16 16時46分
4+
16
10.6
20
12/18 17時03分
1
12
5.1
20
観察開始から5分後にいなくなる
12/19 16時48分
1
15
10.4
20
1時間の観察中に2回出現。いずれも3分程度以下の出現。
12/20 18時13分
0
11
6.6
20
12/21 16時36分
0
13
8.7
20
12/22 18時42分
1
13
6.2
20
30分間の観察中に1回出現。2分程度の出現
12/25 18時32分
0
10
8.6
18
午前0時〜午前6時に降雨
1/9 18時28分
2
12
9.0
18
前日夕〜当日朝に降雨。1月の最高気温(16.0℃)
1/12 18時20分
0
12
2.6
19
1/18 17時09分
2
16
10.4
17
前日夕〜夜に降雨。1月の2番目の高気温(13.7℃)
1/19 17時42分
0
11
9.9
19
1/23 18時20分
0
13
6.3
18
前日昼前〜深夜に大雪。東京で23cmの積雪
1/24 18時25分
0
7
1.6
16
東京の最低気温-1.8℃、最高気温7.3℃。
1/26 18時37分
0
4
0.5
18
東京の最低気温-3.1℃、最高気温5.1℃。前日の最低気温は-4.0℃で寒さの底。
1/29 17時34分
1
14
6.1
19
1時間の観察中に3回出現。いずれも1分程度以下の出現。2回目3回目の出現時の気温は11℃。東京の最低気温-1.9℃。
1/31 18時32分
1
12
6.0
18
30分間の観察中に3回出現。いずれも2分程度以下の出現。東京の最低気温-1.0℃。
2/1 18時30分
0
6
2.5
19
小雨。この後、雪になり翌日昼まで降り続く。東京で1cmの積雪
2/3 17時46分
1
10
4.4
17
1時間の観察中に3回出現。いずれも2分程度以下の出現。
2/5 17時33分
1
10
6.5
19
1時間の観察中に1回出現。2分程度の出現。
2/7 18時02分
1
12
3.9
19
1時間の観察中に1回出現。1分以内の出現。東京の最低気温-1.8℃(2月の最低気温)。
2/9 18時41分
1
10
5.2
19
30分間の観察中に1回出現。2分以下の出現。東京の最低気温-1.4℃。
2/13 17時13分
0
10
6.8
19
東京の最低気温-1.2℃。
2/16 18時18分
0
11
7.1
19
2/17 17時18分
0
8
6.4
19
風が強い。東京の最高気温は12.3℃。翌18日は2月の最低気温(-1.8℃)
2/20 18時44分
1
12
8.5
19
30分間の観察中に1回出現。1分程度の出現。
2/21 18時15分
0
11
6.6
19
深夜から23日午前まで弱い雨が断続的に降る。
2/23 17時29分
0
13
5.3
19
2/27 19時03分
2
14
8.9
17
2/28 18時39分
3+
14
10.7
20
東京の最高気温は14.7℃。2月の3番目の最高気温。
3/1 17時51分
8+
18
17.1
15
明け方に雨。東京の最高気温は20.3℃。「春一番」だったが、風は弱い。
3/5 17時56分
0
19
18.0
20
雨。風雨が最も強い時間帯に観察。
3/7 18時51分
0
9
5.7
20
3/13 18時37分
8+
18
14.3
20
3/16 18時28分
0
13
8.8
21
雨。
3/19 18時17分
24+
18
15.1
21
3/23 18時13分
5+
15
12.9
18
21日は降雨、一時降雪の寒い日だった。
3/28 18時34分
19+
20
18.3
22
東京の最高気温は22.9℃。
3/30 18時23分
3
14
12.1
22

※注:
 ・時刻=頭数0の場合は現場到着時刻。
 ・頭数=「+」は「以上」を表す。暗い状況では目視で頭数を正確に数えることは不可能である。頭数が1頭または2頭の場合はバットディテクターの音で確実に聞き分けられる。
 ・気温(実測)=風速気温計(GM816)で計測。
 ・気温(気象庁)=気象庁発表の10分ごとの値。計測場所は東京(北の丸公園)。
 ・水温=水温計(テトラ デジタル水温計 BD-1)で水面の温度を計測。

私は現場に行く仕事も多いため、夕方に品川駅近辺に必ずいるわけではなく毎日の観察はできない(結局は仕事のない日にも観察に行くことがあった)。
また、観察開始時刻も一定していない。遅い場合は日没から1時間以上経過して現場に到着している。
目撃がない日でもだいたい30〜60分観察している。この時間外にアブラコウモリが活動している可能性はゼロではない。

●10月

最初に驚いたのは10月25日のことだった。この日は朝から雨が降ったりやんだりで、観察時も雨が降っていた。気温(実測)は14℃で、アブラコウモリの活動限界気温を下回っていた。この状況でもアブラコウモリ2頭が飛んでいた。当然、雨を避けて橋の下だけを飛んでいた。
これまでの観察結果から、アブラコウモリの活動限界気温は15℃程度であることがわかっている。それを下回っていて、しかも海水環境で、となるとこれは明らかに異常な状態だと言える。

その日以降も多数のアブラコウモリが飛んでいる日があった。10月下旬に20頭以上も活動しているというのはやはり経験的に異常であることがわかる。
何かおかしい、と感じ始めた私は付近の様子もいろいろと観察してみた。

新港南橋の下の遊歩道(西岸)では気温が高めの日にはユスリカ(種名未確認)が多数飛んでいることがあった。遊歩道の欄干やベンチの裏に多数のユスリカがとまっていることもあった。アブラコウモリが食べているのはユスリカであることは間違いない。
また、橋の西岸脇には電撃殺虫機が備え付けられている。つまりこの場所の管理者がユスリカの発生(しかも大発生)を認識しているということである。

新港南橋の下には消波ブロックがある。運河なので波の心配はないはずなのになぜ設置しているのだろうか。
水面をよく見ると、西岸から水がわき出しているように見える。つまり何かの水が排出されている(排出口らしきものは目視確認できない)。消波ブロックはこの排水の流れを弱めるために設置しているらしかった。
ではこの排水はいったい何か?
ネット検索してみると、少し西へ行ったところにある芝浦水再生センター(下水処理施設)からの排水(処理後の水)であることがわかった。
ということはここでは年間を通じてある程度安定した水温の水が排出されていると考えられる。冬季は周囲の海水温より温かいだろうと予想される。また、流れ出ているのは淡水のはず。この環境なら確かにユスリカは繁殖できる。
この場所でだけユスリカが大発生しているのは間違いなく、アブラコウモリが大量に集まってくるのも納得できる。これで最初の謎は解決した。

※注:ただし、後述するように実際にユスリカが繁殖しているのは新港南橋ではないことが後でわかった。

よく見ると、水中には多数の魚が集まっているのが確認できた。どうやらボラの群れのようだ。暖水に集まってきたということだろう。少数だがスズキも混じっているようだった。この魚を目当てに来る釣り人も見かけたし、魚食であるダイサギ、アオサギ、ゴイサギも現れた。

●11月

普通は冬眠に入ってしまう11月中旬になってもアブラコウモリが現れるため、「まさか冬眠をしないかも(笑)」と思ったりもしたが、この時はまだ本気ではなかった。
ただ、同時に新港南橋の気温がおかしいことにも気付き始めていた。気象庁発表の気温よりも明らかに高いのである。気温計が不正確なのかとも疑ったが、どうもそうではないようだ。
新港南橋のひとつ南にある御楯橋でも気温を計ると、明らかに新港南橋の方が気温がわずかに高いのである(0.5〜1℃程度)。
それにしても気象庁発表値よりも5℃以上も高温というのは異常にも見える。
気象庁発表の観測場所「東京」は具体的には北の丸公園(千代田区)のことである。一般に海岸部の気候は内陸部よりも穏やかである(夏は涼しく、冬は暖かい)。そのため新港南橋での気温が気象庁発表の値よりも高めになることは実は不思議ではない。

さらに、新港南橋では排水の水温が高いことも影響していると予想された。水温のデータがどこかにあるかもしれないと思い、ネット検索してみると、実際に調べたデータがあった[文献1]。

[文献1] 中山有・神田学・木内豪(2007):下水処理場での水温観測に基づく都市下水道の水・熱輸送に関する研究,水文・水資源学会誌,No.20 Vol.1, pp.25-33.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjshwr/20/1/20_1_25/_pdf

水温データは 東京都区部下水処理場水温データ(東京工業大学神田研究室、中山有、2007年)からダウンロードできる。

下水は風呂などで使った温水を集めることになるため、冬は自然環境下での水温よりも高めになる。上記文献によると冬の排水温は約18℃とのことである(12月以降、実際に計測してみるとその通りであった)。

水温は15〜20℃あれば、ユスリカの成長は可能なはずである。つまり新港南橋ではほぼ一年を通じてユスリカが繁殖できると推測される。
ただし、水温の季節変化(下水も夏は高温、冬は低温になる)や概年リズム(1年周期の生物の活動の変化)によって冬季の活動が低下することも予想され、どの季節でも繁殖速度が同じとは考えにくい。

そういえばユスリカの幼虫はどこで成長しているのだろうか。
水中にいることは間違いないが、遊泳力は弱いので水中に漂っていると排水といっしょに流されてしまう。
ネットで調べてみると、どうやら水底で生活しているようだ。つまりベントス(底生生物)である。そして、羽化する時(蛹から成虫になる時)は水底から水面に浮上する。ということは、新港南橋に集まっているボラは浮上途中のユスリカを食べている、あるいは流されてくるユスリカ幼虫を食べているのではないだろうか。
ボラが新港南橋に集まってくるのは水が暖かいからではなく、食べ物が十分得られるためということかもしれない(ボラは通年で見られる)。あれだけの大群を養うことができるということは、ユスリカもかなりの量が繁殖しているはずである。
それならばユスリカはコウモリだけでなくボラも養っていることになるのだ。
ちなみにユスリカの幼虫は何を食べているかというと、水底の泥の有機物らしい。

この新港南橋の水中にはユスリカが主役の「ユスリカ生態系」が成り立っていることが予想される。水中で何が起こっているのか、誰か調べてほしい。

※注:やはり後述のよう新港南橋の水中ではユスリカの発生は難しいかもしれないことが後からわかった。

ちなみに新港南橋の水深は5.9mである。[文献2]

[文献2] 小型船舶用 海のウォッチングマップ(公益社団法人 関東小型船安全協会)
http://www.shoankyo.or.jp/pdf/sak_20170919_map_tokyo.pdf

●12月

12月に入ってからは水温も計測することにした。
水温は時々急降下することがある。例えば12月25日に水温が急低下している。その理由は、この日の午前0時〜午前6時にかけて降雨があったためである。下水は雨水も集めるため、降雨後は水温が低下する。
ちなみに2017年12月の東京湾の水温は14.2℃(中央防波堤沖合)であった[文献3]。新港南橋の水温は周囲よりも確実に高い。

[文献3] 東京湾環境保全調査(第三管区海上保安本部海洋情報部)
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN3/kaisyo/tokyo_kankyo/tokyo_menu.htm

12月になるとさすがに出現しない日が増えてきたが、日中の気温が高い日はアブラコウモリが現れる可能性が高いことが確認できた。ただし、活動するのはほんの数頭だけになった。
また、活動時間が短い時はバズ音がはっきり確認できないこともあった。ユスリカがいないことがわかったため活動をすぐにやめたということかもしれない。
(注:バズ=コウモリの発する超音波のパルス間隔が通常より短くなった時の音。昆虫を捕獲する直前に発する。バットディテクターでは「ブズズズ…」という風に聞こえる。)

なお、現れるアブラコウモリがいつも同じ個体かどうかはまったくわからない。新港南橋では10頭以上が冬眠しているのは確実と思われる。それらが交代で活動しているのかもしれない。

●1月

ここまで来れば1月2月でも新港南橋のアブラコウモリは活動を続けるだろうという予想もできた。
後述のように、アブラコウモリは冬眠の途中で中途覚醒することも年末までにはわかっていた。あとはひたすら観察するだけである。
冬眠の期間を調べるという当初の目的は意味がなくなっていた。

予想通り、アブラコウモリは出現したものの短時間だけであった。
短時間だけ出現するのは、ユスリカがいるかどうかを確かめるために偵察に出ているのだろうと思われる。
わざわざ飛び出さなくても冬眠巣から顔だけ出して超音波で確かめればいいように思えるが、おそらくそれではユスリカを確認できないのだろう。
その理由としては、超音波レーダーの有効範囲は意外と狭いということが推測される。バットディテクターではだいたい20m〜30m離れたアブラコウモリの超音波を聞き取ることができるが、離れると音量も非常に小さくなる。おそらくレーダーとしても十分な役割を果たすことはできないだろう。アブラコウモリの超音波レーダーの有効範囲はおそらく10m以下ではないかと思われる。そのためアブラコウモリは実際に飛び回ってユスリカがいるかどうかを確認しなければならないのである。

この冬の東京は記録的な寒さだった。
1月22日は関東で大雪が降り、東京の積雪23cmにもなった。1月24日〜27日は異常低温で、最低気温が氷点下になった。1月25日は最低気温が-4.0℃で、48年ぶりの記録だった。
相対的に暖かい新港南橋でさえも観察時間帯の気温が10℃以下になったほどだった。この寒さの中でじっとコウモリを待つのはなかなかつらいものである。

1月19日には面白い体験をした。アブラコウモリを観察していると、突然近くで大きなモノがバタバタする音が聞こえた。なんとボラが遊歩道の上にいたのだった。新港南橋にはボラが集まってくることを前に書いたが、時々ボラらしき魚が水面からジャンプすることがあった。この時はジャンプしたボラが水面ではなく遊歩道に着地してしまったらしい。さすがに持ち帰るわけにもいかないので、写真を撮って海に戻した。
この時のボラはかなり大きく、大型のサギ類でも飲み込めそうにない。写真背景の板の幅は15cmなので全長は45cmほどである。
新港南橋ではサギ類(アオサギ、ダイサギ、ゴイサギ)をよく目撃するが、魚を捕獲するところはめったに見られない。成長したボラは大きすぎるので成長途中の小さな個体を狙っているのだろうが、そう都合よく近くに来ることもあまりないのだろう。サギたちは消波ブロックの上でじっと機会を待つしかないのである。

飛び込んできたボラ

●2月

低温傾向は2月になっても続いた。それでもアブラコウモリは短時間だけ出現することが確認できた。

アブラコウモリが出現した最低気温は10℃である(2月3日、5日、9日)。

そういえば低気温での観察例を以前読んだ記憶があるので確認してみることにした。[文献4]

[文献4] 「横浜国立大学構内におけるアブラコウモリPipistrellus abramus(翼手目. ヒナコウモリ科)の日周活動の季節変化及び冬眠開始時期について」(田代、松尾、田端、2016年)
https://ynu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=1965&item_no=1&attribute_id=20&file_no=

この事例では横浜国立大学構内(横浜市保土ケ谷区)で冬季を除いて継続的に観察している。冬季を除くといっても活動が続く限り観察も続けており、9.7℃で活動した例(2014年12月8日)が記録されている。
また、調査期間外では7.7℃での活動例もあったという(2015年2月20日)。
厳冬期にも観察を続けていればもっと活動を記録できた可能性があるのが残念である。

この事例からわかるように、10℃前後でアブラコウモリが活動することは珍しくはあるが異常なことではないと言えそうである。
とは言え、自分自身で観察しなければとても信じられることではなかった。

さらに後から(4月になってから)見つけた[文献5]ではもっと低温(約1℃以下?)での活動もあったようだ。

[文献5] 「埼玉県立川の博物館におけるヒナコウモリVespertilio sinensisの越冬期間中の活動状況」 (大沢啓子、佐藤、大沢夕志、勝田、石井、埼玉県立川の博物館 紀要 13号、2013年)
http://www.river-museum.jp/archives/kiyou/No13/kawahaku-kiyouNo13_P1-12.pdf

タイトルはヒナコウモリだが、アブラコウモリも同じねぐらを利用しており両種の活動を記録している。この調査では観察の自動化が試みられている。完全なものではないものの興味深い。

1月下旬からアブラコウモリの同時出現数は1頭のみだったが、2月27日、2頭の出現が確認できた。厳冬期の終わりを実感できた日だった。

●3月

そして3月1日、この日は春一番で急激に気温が上がった(観察時は風は弱かった)。 アブラコウモリの出現数も急増し、冬眠の終わりを示しているかのようだった。

だが、この後も雨や強風の時は出現しないし、低気温の日は出現しない。アブラコウモリは周囲の気象状況を見ながら活動しているのは明らかである。
それでも3月後半には20頭以上が出現した日もあり、冬眠は確実に終わっていることも確認できた。

なお、観察は4月以降も継続している。4月下旬には50頭以上が飛翔していることが確認できた。

■4.冬眠している? していない?

「冬眠」というと「寒くなったらぐっすり眠って春まで目覚めない」というイメージが一般的なので、新港南橋のアブラコウモリの事例はまるで冬眠していないようにも見える。
だが、哺乳類の冬眠は種によって、地域によって、さらには個体によってもさまざまなパターン(期間、体温、中途覚醒の頻度などで)が存在する。詳細は書籍「冬眠する哺乳類」[文献6]を参照されたい。

[文献6] 「冬眠する哺乳類」(編:川道武男、近藤宣昭、森田哲夫、2000年、東京大学出版会)

現在、哺乳類全般の冬眠について知ることができるおそらく唯一の日本語資料。第3章ではコウモリを取り上げている。古本でも入手困難なので図書館で探すことをお勧めする。

[文献6]によると、温帯域に生息する食虫性の小型コウモリは、冬の長期的な低温と食物欠乏を乗り越えるために冬眠という性質を獲得したのだろう、と説明されている(p109)。
また、「冬眠期間中に一度も覚醒することのないコウモリはまずいない。」(p117)
「眠りが深いと思われるアブラコウモリは、冬季はほとんど活動せず、まれに気温が12℃を超える暖かい日に1〜2頭の飛翔活動をみる程度である。」(p118)
飼育下での観察結果では「アブラコウモリの活動頻度は、6℃の恒暗条件で16日に1回にすぎず、活動時間も平均16分にとどまっている。」(p118)
といった記述もある。

つまり、アブラコウモリは冬眠中に覚醒して活動することがあり、冬に飛翔することは普通にありえることなのである。
新港南橋の事例でも「冬眠していない」ということではなさそうである。ただし、冬眠開始が遅く、中途覚醒も頻繁という特殊な状況であるのは間違いない。

Wikipediaの「アブラコウモリ」の項目では、
「冬眠期間中でも、暖かい日には飛翔する姿が見られることもある。近年、都市部では冬眠しないものも現れている。」
という記述がある(2017年12月現在)。
(ちなみに、ネットで検索するとこの記述はあちこちのホームページなどで引用されていることがわかる。時には「都市のすべてのアブラコウモリは冬眠しない」ともとれる文章に変化していたりもしている。)

この記述の内、前半の「冬眠期間中でも、暖かい日には飛翔する姿が見られることもある。」は正しいが、後半の「近年、都市部では冬眠しないものも現れている。」は信頼できるものとは言えない。これを証明するには具体的な観察記録(日時、場所等の情報がそろった記録)が必要だが、それは見当たらない。また、「近年」「都市部」が関係しているという証拠もない。
[文献6]の記述からもわかるように、「冬眠しない」のではなく中途覚醒を目撃しているのではないだろうか。

■5.ユスリカの本当の発生場所

4月になってから水再生センターとユスリカの関係についてネット検索をしていると、まさに芝浦水再生センターと新港南橋のユスリカについての文書を発見した。[文献7]

[文献7] 「芝浦水再生センター放流渠周辺のユスリカ発生防止対策について」 (中部下水道事務所 芝浦水再生センター、2013年)
http://www.gesui.metro.tokyo.jp/business/pdf/3-1-1_2013.pdf

「東京都下水道局技術調査年報2013」p183に同内容が収録されている(ただしこちらは写真・図版が白黒)。
http://www.gesui.metro.tokyo.jp/business/pdf/2013all.pdf

この文書によると、ユスリカは水再生センター内の第二沈殿池と塩素接触槽で繁殖しており、そこから幼虫が放流水と共に運河へ流出しているとのことである。また、干潮時には塩素接触槽と運河が空気でもつながるため成虫も流出しているという。
2011年度までに、薬剤(つまり殺虫剤)散布や電撃殺虫器の設置などのユスリカ対策を行っている。新港南橋の流出口にはゴムシートを設置して上部の開口部をふさぎ、ユスリカ成虫が出てこないようにもしている。
こういった対策の結果、2017年~2018年現在は新港南橋でのユスリカの発生はかなり抑えられているようだ。ただし、アブラコウモリが大乱舞する程度には今もユスリカの発生は続いている。

なお、繁殖しているユスリカの種名はセスジユスリカとのことである。どこでも見かけるようなユスリカの普通種である。

私の予想と違っていたのは残念だが、確かに橋の下の海水環境よりも施設内の方が繁殖は容易である。またよく考えれば、水流の速い新港南橋の海中では幼虫、蛹が安定して生息することは難しそうである。
ということは、施設内にはとんでもない数のユスリカ幼虫が生息していることになる。芝浦水再生センターからは1日に50万㎥以上の水が流れ出している。つまり毎秒6㎥=6tにもなる。この水にはユスリカの幼虫が含まれており、しかも年間を通じて排出されてくるのである。想像しただけでも途方もない光景が浮かんでくる。

また、成虫が流出しないように対策しているにもかかわらず、新港南橋では4月時点で多くのユスリカ成虫を確認している(蚊柱になるほどではない)。この成虫はどこからやって来るのだろうか? 排水トンネルから出てくるのか、それとも海に流れ出た蛹から羽化しているのだろうか。

文書からは駆除に苦慮している様子がわかるが、東京コウモリ探検隊!としては新港南橋はアブラコウモリの観察名所に指定したいほどの場所である。ユスリカが大量発生するのは好ましくないが、もし現状を維持できるのであればこのままにしてほしい気持ちである。

他の水再生センターでもユスリカとアブラコウモリの存在は認識されているようだ。[文献8]

[文献8] 「不快害虫の飛行防止についての調査」(平成12年 東京都下水道局 調査年報)
http://www.gesui.metro.tokyo.jp/business/pdf/06-05_2000.pdf

この文書では森ヶ崎水再生センター(大田区)と砂町水再生センター(江東区)について報告されている。両施設ともユスリカの大量発生が問題になっていたことがわかる。

■6.まとめ

・新港南橋は海水環境であるにもかかわらずユスリカが大量発生している。これは芝浦水再生センター内で繁殖しているユスリカ(主に幼虫)が大量の排水とともに流出してくるためである。

・新港南橋は海岸にあるため冬でも相対的に暖かい気象である。また、芝浦水再生センターからの排水の温度も海水より暖かいため、さらに(わずかに)気温を底上げしている。アブラコウモリにとっては越冬しやすい生息環境と言える。

・新港南橋ではユスリカが大量発生するため通年でアブラコウモリが見られる。温暖期は数十頭が乱舞することも珍しくない。

・新港南橋ではアブラコウモリがおそらく10頭以上は冬眠していると推測される。

・アブラコウモリは冬眠するがその途中で中途覚醒もする。新港南橋は気温が高めであるためアブラコウモリは活動がしやすく、また、多数がすみついているため冬でも活動を観察できる確率が高い。

・新港南橋の現象は、下水処理施設が作り出した特殊な環境によって成立している局所的なものである。これは地球温暖化やヒートアイランド現象とは無関係である。

■7.今後の課題

新港南橋での観察ではいろいろな発見があったが、謎も多く残っている。以下に課題を並べてみる。これらの謎は私だけでは解明できない。興味を持たれた方はぜひ取り組んでみてほしい。

新港南橋の謎

・どこが冬眠巣だったのか? 橋の隙間に潜り込んでいたのだろうが、明るい時間帯でも発見はできなかった。少なくとも10頭以上が越冬していたはずなのだが…。

・生態系の謎。ユスリカが水再生センターから流出しているのはわかったが、新港南橋の海中はどのような様子なのだろうか。ユスリカはどの程度流れてくるのだろうか。蛹は海中で羽化しているのだろうか。
また、ボラは水底の有機物や藻類を主食としているそうだ。だとするとユスリカは関係ないのかもしれない。新港南橋の水底にはいったい何があるのだろうか。
水中に潜って調べてほしいのだが、水流がかなり強そうなので簡単にはいかないかもしれない。人間が潜るにせよ、水中ドローンを使うにせよ流れの強さには注意しなければならない。

・水鳥は何を食べているのか? 特に気になったのがオオバンである。オオバンは「植物食傾向の強い雑食で、主に水生植物を食べる」と説明されているが、ここには植物は無さそうである。いったい何を食べていたのだろうか。水再生センターから藻類が流出しているのかもしれない。

下水処理施設の謎

・芝浦水再生センター内でユスリカがどのように繁殖しているのか、もっと知りたいところである。どれだけの数の卵、幼虫、蛹、成虫がいるのだろうか。繁殖のサイクルは何日なのだろうか。季節変化はどの程度なのだろうか。

・東京都には他にも水再生センター(下水処理施設)がある。他の施設でも同じような現象が起こっている可能性が高い。近所に水再生センターがある方はぜひ調べてほしい。アブラコウモリが活動しているならばユスリカもいるはずである。夏に20頭以上のアブラコウモリが乱舞しているなら冬も活動を観察できる可能性が高いだろう。

・東京都に限らず他の地域の下水処理施設でも同じ現象が見られると思われるので、全国の皆さんにも調べてみてほしいと思っている。

・温水を排出する他の施設でも同じ現象が起こっているかもしれない。
水で冷却、と言うと火力発電所、原子力発電所が思いつくが、これらは海水を冷却水として利用しており、ユスリカの発生にはつながらないようだ。
工場の排水は温かい可能性があるので調べる価値はあるだろう。

アブラコウモリの謎

・冬眠の開始と終了はどのように判断すればいいのだろうか?
新港南橋で観察を続けてみてもそれははっきりとはわからなかった。冬眠の終了は「春一番」としてもよさそうだが、その後もいつも活動が活発であるわけではないので違和感もある。

・厳冬期に1頭だけが現れるということが続いたが、活動していたのはいつも同じ個体なのだろうか? 別個体がばらばらに出現していたのだろうか?
体力の温存を考えると交代で現れていると考えるのが合理的ではある。

・そもそも寒い時は中途覚醒しても飛ばずにじっとしていた方がいいように思えるが、何のために飛んでいるのだろうか? ユスリカが飛んでいるかどうか、念のために確認しているのだろうか。

・どの時間帯によく活動していたのだろうか?
私の観察は30分〜2時間程度、しかも日没時刻直後に観察したわけではないし、毎日観察したわけでもない。アブラコウモリの活動のほんの一部しか見ていないのである。
常時24時間観察を続ければアブラコウモリの活動と時間帯、気象との関係の詳細がわかるだろう。

実際に人間を24時間毎日現場に張りつけるのは無理なことである。
最も簡単そうな方法は、バットディテクターをボイスレコーダーにつないでアブラコウモリの超音波を録音する方法である。ただし、バッテリー切れやボイスレコーダーの空き容量不足など解決しなければならない問題は多い。また、長時間の録音データを聴かねばならないのもある意味苦行に近いかもしれない。

・アブラコウモリが活動する最低気温は何度か?
録音と同時に気温も自動記録できれば、活動時の正確な気温もわかる。

新港南橋は特殊な環境ではあるが、アブラコウモリの冬季の活動を知るには好条件である。この報告書がコウモリの冬眠/中途覚醒の研究に役立つことを期待したい。

■8.その他

アブラコウモリの観察とは直接関係しないことについても書き残しておきたい。

●気温を正確に計るには

暖かい季節なら気温はあまり問題にならないが、アブラコウモリはどこまで低温で活動できるか、という限界環境下ではできる限り正確に気温を測りたいものである。 しかも新港南橋の気温は気象庁が発表する東京(北の丸公園)の気温とはかけ離れているためなおさら正確に知りたいのである。

輸入モノの安い気温計を使っていると、この気温計は正確なのだろうか?と時々不安であった。この気温計(AmazonではGM816という製品名で複数業者が販売している)は完全に信頼できないのでちょっと他の製品を試してみることにした。

まず、Sunroad SR204 Miniという気温気圧計をAmazonで購入した(中国製)。ところがGM816よりも約1℃高い気温を示す結果だった。また、気温が急変した時(例えば屋内から屋外に出た時)に気温表示が安定するまで10分以上かかることもわかった。すぐに気温を知りたいのにこれでは役に立たない。

ネットで気温の計測方法を調べていると、次のような文書が見つかった。[文献9]

[文献9] 「デジタル式温湿度計の性能」(社)北海道消費者協会
http://www.syouhisya.or.jp/test/kirame52.pdf

この文書で取り上げられている温度計は古い製品なので10年以上前の内容のようだ。 だが、国内有名メーカー製のものは安心して使えそうだともわかった。

そこで次に買ったのが国内メーカーであるエンペックスのTD-8286だった。これは製造は中国製だが出荷時の検査結果も同梱されていて信頼できそうだった。
結果としてはエンペックスの方がGM816より1℃程度低い値を表示する場合が多かった。勤務先にあったタニタの気温計とも比較したところ(室温)、ほぼ同じ数字だったのでやはりエンペックス製品は信頼してよさそうだと判断した。

今回の観察記録はGM816での計測値なので、実際の気温はそれらより1℃程度低かった可能性がある。

4月からは気温計測はエンペックスTD-8286に切り替えた。
Sunroad SR204 Miniはお払い箱である。

それにしても「正確に測る」ことの難しさをあらためて感じることになった一件だった。

温度計3種

[写真]左からGM816、Sunroad SR204 Mini、エンペックスTD-8286。観測場所を固定してまったく動かさないならばそれほど問題ではないかもしれないが、フィールドで使えるかどうかはまた別の問題である。

●コウモリの超音波が聞こえる?

3月28日のことだった。いつものように水温計を水中に降ろしてそのまま数分待っている時、背後から「チキチキチキ」というかすかな音が何度も繰り返し聞こえてくるのに気づいた。すぐにアブラコウモリの超音波だとわかったがそれは聞こえるはずがないものだった。アブラコウモリの超音波のピークは40〜50kHzで、私だけでなくほとんどの人が聞くことができない音域である。

その謎の音が聞こえるのは、新港南橋の下の西端の壁近くからである。この日は全体で約20頭以上のコウモリが飛翔しており、西端でも複数頭が飛び交っていた。コウモリが近づくと謎の音も聞こえるため、やはりコウモリの超音波で間違いないとわかった。「チキチキチキ」という音はずっと連続して聞こえるわけではないことから、これはバズ音らしいと判断した。
また、私の耳が急に高性能になったはずはないので、この音は20kHz未満であるのは間違いない。
だがこのような音が聞こえる経験は私もこれが初めてだった。なぜ今まで聞こえなかったのかも不思議だった。

この日以降も耳を澄ませてみたが、なぜか鳴き声はまったく聞こえてこなかった。

いろいろと原因を考えてみて、この音はアブラコウモリではなく、他のコウモリだったのかもしれない、と推測した。都心部に生息しているかもしれないコウモリとしてヒナコウモリがいる。ヒナコウモリの超音波のピークは20〜25kHzとされているので、人間の耳にも聞こえてくる可能性がある。
ただ、ある人から以前いただいたヒナコウモリの鳴き声の録音とは似ていないものだった(ただし、冬のおそらく昆虫が非常に少ない時のもののようだ)。
また、ヒナコウモリはアブラコウモリよりもやや大きい。観察の時はそこまでよく見ていなかった(そもそもヒナコウモリを観察した経験もなかった)。

なぜ1度だけ鳴き声が聞こえたのかあれこれ考えてみたがうまく説明できる答えは未だに見つかっていない。

やはりヒナコウモリだったのかもしれない、というのが現時点での仮説である。ヒナコウモリは季節によって渡りをすることが知られており、その日はたまたま新港南橋に飛来していたのかもしれない。

●現場写真

最後に現場写真を紹介する。すべて2018年4月25日、日没時刻ごろ撮影。

新港南橋

[写真]新港南橋を南から見る。

新港南橋の消波ブロック

[写真]消波ブロック。左奥には橋の北側の消波ブロックが見える。

新港南橋の南の排水口

[写真]橋の南側にある芝浦水再生センターからの排水口。干潮で水位がかなり低く、排水口の上部が見えている。板ゴムで開口部をふさいでいるが少し隙間があるようである。上部に見える2台の装置は電撃殺虫器(夜間は消灯している)。

新港南橋の北の排水口

[写真]橋の北側にある芝浦水再生センターからの排水口。干潮でも開口部は見えないが、水がわき出ているのがわかる。


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