東京コウモリ探検隊!2016年調査計画書

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執筆:宮本 拓海 (東京コウモリ探検隊!)
2016年3月(後で更新することもあります)


■1.前文

東京都23区のコウモリ調査、4年目の開始です。計画の内容は昨年とほぼ同じです。
いまだ全域制覇はできていません。今年もまずは参加者を増やさねばなりませんね。

調査の方法は簡単です。
「隊員にいろいろな場所でアブラコウモリが飛んでいることを確認してもらう」
のです。
観察結果は宮本が集計し、報告書と地図を作成します。

コウモリの観察はそれほど難しいことはありません。皆様の参加をお待ちしています。詳しくは以下に書いてありますので、まずは一通りご覧ください。

■2.調査の目的

この調査の目的は
「東京都23区でのアブラコウモリの生息地図を作ること」
です。
私の当初の予想は「東京都23区全域にアブラコウモリは生息している」というものでした。これまでの調査からはアブラコウモリは多くの場所に飛来しているらしいことがわかりました。が、飛来していない場所もあるようですし、均一に分布しているのでもなさそうです。「アブラコウモリは都市でも普通に生息している」と言われることがありますが、より具体的に生息分布を明らかにしたいです。
また、観察の結果を集計・分析すれば、おおよその生息数を推定することもできるかもしれません。これも重要なことです。

もう一つの目的は、
「ネット参加型生物調査の方法のフォーマットを作ること」
です。
ネット参加型生物調査にはいろいろな方法がありますが、ひとつのやり方を「フォーマット化」しようと考えています(東京コウモリ探検隊!のホームページ全体がフォーマット(マニュアル)だとも言えます)。
もちろん、地域や動物によって調査方法は違ってきます。東京タヌキの調査方法ともかなり異なったものになっています。調査方法はいろいろ考えられますが、そのひとつの実例を示したいと思います。
フォーマット化ができれば、似たようなことを考えている方々の参考になるでしょう。他の地域、他の動物でも挑戦する人が出てくることを期待しています。

■3.アブラコウモリとは

アブラコウモリといっても知らない人が多いでしょう。
アブラコウモリはアジアに広く生息するコウモリで、日本でも広い地域に生息しています。特に平野部で見られ、大都市にも生息しています。アブラコウモリは建物の隙間をねぐら・冬眠場所とします。そのために都市部でも生息できるわけです。家屋にすみつくことからアブラコウモリは「イエコウモリ」とも呼ばれます。

東京都23区に生息するコウモリはアブラコウモリだけと思われますので、判別には難しい知識は必要ありません。

アブラコウモリの見つけ方はこのページをご覧ください。

■4.調査方法

●隊員参加資格

東京都23区に在住、在勤、在学の方。通りすがりの方、旅の方でも誰でもOKです。個人参加でも家族参加でも可です。学校(部活動、サークル活動なども含む)での参加も可。ただし、小学生以下にはちょっと難しいかもしれません(観察時刻の問題もあります)。

●参加申し込みのメールを送る

まず宮本に参加申し込みのメールを送信してください(メールアドレスはこのページの最後の方に記載しています)。
メールにはお名前(ペンネーム可)をお書きください。結果をまとめた報告書には隊員全員の名前も掲載しようと思っているからです。が、本名をネット公開するのには抵抗がある人もいるでしょうからペンネームでも可としますし、「匿名希望」でもかまいません。
隊員にはデータ整理のために隊員番号を割り当てます(毎年、隊員番号はリセットされます)。
なお、番号001番は私、宮本(永久1番)です!

※アブラコウモリの飛翔を見たことがない方は、まず観察してみて、それから登録してもかまいません。

●観察する

観察場所は隊員にお任せします。どこで観察すればよいかわからないという方は宮本に質問してください。観察できる地域を指定していただければ、宮本が具体的な候補地を提案します。川(橋)と公園が主な候補地になるでしょう。

補足:目撃場所は、集計時には「地域メッシュコード」(JIS X 0410)で管理されることになります。これは日本国内全体を(ほぼ)同面積(約1km×約1km)で区切ったものです。地域メッシュコードについては知らなくても大丈夫です。集計する側の利便のためのものですから。
(東京都23区全体のメッシュの数は約700あります。ということは、一部の人が複数のメッシュで観察しても、全域をカバーするには数百人規模の参加が必要になります。)

観察日の指定はしません。4月〜10月のいつでも観察してください。
2月、3月でも最高気温が20℃を超えるとアブラコウモリが活動する可能性があります。興味ある方は注意してみてください。
※それ以外の期間の観察もOKですが、報告提出の最終期限は11月30日とします。
観察の時間帯が日没前後に限られているので、たくさんの観察場所すべてを1回で回ることは不可能です。無理せず何度かに分けて観察してください。

アブラコウモリは10月後半になるとほとんど活動しなくなります。そこで、11月は「それ以前にもアブラコウモリが観察できた場所」に限って観察してください。新しい観察場所に行っても目撃できる可能性は非常に少ないでしょう。

・バットディテクターは必要?

バットディテクターとは超音波を可聴音に変換する装置です。アブラコウモリの出す超音波が聞こえるようになるため、コウモリ観察には便利な道具です。
日没後の短時間ならばアブラコウモリは目視で十分確認できます。しかし日没後30分を過ぎると真っ暗になり、目視確認は困難になります。
そういう場合はバットディテクターが役に立つでしょう。いろんな場所で長時間観察をしたいという場合にはバットディテクターの購入も検討してみてください。

※いきもの通信でバットディテクターを紹介した記事です。
バットディテクターを使ってみたら川は超音波に満ちあふれていた

●定点観察する

ある特定の場所で長期間観察することです。アブラコウモリが最初に現れた日付、最後に現れた日付、飛翔開始時刻の変化、飛来頭数の季節変化など定点観察では多くの情報が得られます。気温や風速との関係を調べてみるのも面白いでしょう。

定点観察の方法はさまざまです。最も簡単なのは日没時刻過ぎに目視で観察する方法です。毎日観察する必要はなく、週1回程度でもかまいません。

宮本はバットディテクターとボイスレコーダーをつないでベランダに設置し、一晩中超音波を録音するという定点観察をやってみました(2015年の報告書に結果を記載)。これは少々難度が高い観察方法です。

定点観察の結果も宮本に送信してかまいませんが、報告書では簡単にしか取り上げられません。参加者ご自身が報告書を作ることが望ましいです。それぐらい価値のあることです。報告書の書き方などについては宮本がアドバイスできます。

●もひとつ観察をお願いします

コウモリを探していると河川でサギ類も目撃することがあるはずです。実はサギ類は基本的に夜行性で、夕方以降の方が目撃しやすいのです。そこで、サギ類についても同様に報告をしていただきたく思います。

サギ類は本来大集団で営巣する鳥です。かつては関東でもあちこちに繁殖地があったはずで、「鷺」がつく地名はその名残かもしれません。現在ではそのような大きな繁殖地は首都近郊にはないはずで、東京都23区内にあるはずがありません。しかし、サギ類は東京都23区でもよく見かける鳥です。サギたちはどこで繁殖しているのか、どこがねぐらなのか、私は以前から興味がありました。そこでサギ類も調べてみたいのです。

ただ、私はタヌキやコウモリだけでも手いっぱいですので、きちんと調査していただける方が現れたらこの情報収集システムを委譲してもかまわないと思っています。

東京都23区で目撃できるサギ類は、ゴイサギ、アオサギ、コサギ、ダイサギです。見分け方はこちらのページをご覧ください。

サギ類の目撃報告は年中いつでも受け付けていますが、アブラコウモリと同じく11月30日を報告期限とします(それ以降は翌年に持ち越し)。

●観察の記録の仕方

観察の時にはメモ帳、筆記用具、時計(&懐中電灯)を持参してください。
※これらはスマートフォンですべて代用できます。私の場合はiPhoneのメモ帳に記入するようにしています。暗くなってきたら画面の明度を落として使った方がいいでしょう。

地図とメモ帳を組み合わせたアプリがあると便利なのでしょうが、そのようなアプリはないようです。実際に観察記録に使えるアプリがありましたら教えてください。

観察時には以下のことをメモするようにしてください。

・時刻

・場所(正確な緯度経度は帰宅してから調べてもかまいません。観察者の場所ではなく、コウモリが飛翔していた場所を記録してください。緯度経度の調べ方は下にも書いてあります。)

・頭数(確認できる頭数でかまいません。確実に数えられるのは10頭ぐらいが上限だと思います。なので「10頭以上」という表現でもかまいません。)

観察場所は前もって決めておいたほうが観察も記録も楽になります。観察時間は限られているので効率的に移動しましょう。
学校などの場合は敷地内に入る必要はなく、敷地外からの観察で十分です。(学校の場合、プールがあるならその近くを必ず観察してください。)

●報告する

観察の後は記録を整理してメールで報告してください。後でまとめて報告してもかまいませんが、記憶が新しいうちに報告した方がいいでしょう。
場所ごとに、日付、時刻などをセットで書いてください。「その他」は何か気付いたことがあれば書いてください。
サギ類の場合も書き方は同じです。

・報告の書き方の例


・日付:2016年x月x日
・時刻:18時06分
・場所:杉並区高円寺南3-x-x、駐車場(名称不明)
・位置情報:35.699695,139.646042
・頭数:1頭
・その他:

・日付:2016年x月x日
・時刻:18時40分
・場所:杉並区高円寺南1丁目、かえる公園
・位置情報:35.700414,139.657124
・頭数:3頭
・その他:


※サギ類はサギの種名も「頭数」の項目に書いてください(「コサギ1頭」のように)。

※場所とは住所のことです。目撃場所に近い建物の住所、建物の名前、橋ならば橋の名前も書いていただけるとありがたいです。

※位置情報とは緯度経度のことです。調べ方には以下の方法があります。この方法は前もって練習しておいた方がいいでしょう。こちらの集計の負担軽減にもなりますので、ぜひマスターしてください。
「場所」と同じ情報ではないかと思われることでしょうが、位置が正しいことを確認するための二重チェックということでご理解ください。

パソコンでGoogleマップを使う

スマートフォンで「Google Maps」を使う

スマートフォンで「Google Maps」を使う方法を文章で説明すると、
「地図上にピンを置く(置きたい場所を長押しする)」→「画面下端の住所表記部分をタップ」→「共有」→「コピー」で別のアプリにペーストすることができます。
以下のようなデータがペーストされますが、これで「場所」と「位置情報」両方のデータになります。「http〜」の行が位置情報を表しています。削除せずそのまま利用してください。


指定した地点
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2丁目の付近
http://goo.gl/maps/Y5fQT


例えば次のような書き方もOKです(この例は万世橋(神田川)を指していますので、橋の名前も書いていただけるとよりわかりやすいです)。


・日付:2016年x月x日
・時刻:18時55分
・位置情報:
指定した地点
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2丁目の付近
http://goo.gl/maps/Y5fQT
・頭数:3頭
・その他:


●観察結果は宮本がまとめます

報告されたデータは宮本がデータベースで整理し、地図を作成します。報告書は年内に公開します。

※観察場所はGoogleマップ(またはGoogleEarth用のデータ)で公開することを検討しています。観察場所のみを公開しますのでご了解ください。

●東京都23区以外での調査

東京コウモリ探検隊!の調査は東京都23区限定です。それ以外の地域の方もぜひご自身で取り組んでみてください。調査方法は東京コウモリ探検隊!のものを参考にしてください。宮本からもアドバイスできるでしょう。狭い地域ならば1人〜数人でも全域調査は可能でしょう。

■5.企画

●Tokyo Bat Point 2020

2020年の東京オリンピックに向けてコウモリ観察ポイントを掲示しよう、というプロジェクトです。 当初の企画案についてはこちらのページをご覧ください。

ですが、2015年に発生した「エンブレム問題」と「国立競技場の設計のやり直し」といったドタバタぶりを見て、オリンピックとは関係なく独自路線で進めた方がいいな、と思うようになりました。東京コウモリ探検隊!の活動は2020年の後にも続くことですし。

観察ポイントの選定と公開は今年も引き続き行っていきます。
観察ポイントの風景はストリートビューで既に公開しているのですが、Googleマップには謎仕様が多く、どうやって紹介すればよいのか戸惑っているところです。

●コウモリ・クルーズ

神田川・日本橋川を巡るクルーズ(つまり観光船)というものがあります。このコースでは一部区間ではありますがアブラコウモリが飛んでいます。夜の東京で船に乗ってコウモリを探検する、というのは面白い企画と思いませんか?
いろんな会社が船を運行しているようです。皆様からも何か有用な情報がありましたら教えてください。

●誰か連れてってください

アブラコウモリがいるかどうか確認したいけどちょっと簡単には行けそうにもない場所があります。だれか連れていってくれませんか? いずれの場所もアブラコウモリが生息していると予想されます。(テレビ番組の企画として面白いと思うのですが、視聴率には結びつかなそうです。)

その1=第六台場

「台場」とは砲台を設置するために築造された人工島です。第六台場は立ち入り禁止らしいので、周囲を回るだけでも十分です。そのそばの鳥の島(防波堤)にもアブラコウモリはいると思われます。ちなみに第三台場、現在の台場公園にアブラコウモリがいることは確認済みです。

その2=羽田空港D滑走路先端

鳥が飛行機に衝突する「バードストライク」という言葉がありますが、「バットストライク」という言葉は聞いたことがありません。羽田空港は自然環境的にはアブラコウモリがいてもよさそうな気がします。D滑走路というのは最も新しい滑走路です。まあ、さすがにD滑走路先端にはアブラコウモリはいないかもしれませんが、空港内のどこかにはいると思われます。

その3=中央防波堤

中央防波堤は周囲が広大なゴミ処分場=埋め立て地になっています。ゴミを捨てるところならハエがたくさんいそうです。ならばアブラコウモリもいるかもしれません。

■6.その他

宮本の連絡先はこのメールアドレスです。

miyamoto.takumi%gmail.com

[迷惑メール対策用にメールアドレスを一部改変しています。「%」は「@」に置き換えて下さい]

Google+で経過を報告したりしていますのでご覧ください。


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