執筆:宮本 拓海 (東京コウモリ探検隊!)
2018年3月
東京都23区のコウモリ調査は今年で6年目です。
調査方法については変更はありませんので別途、常時公開することにしました。
目標である23区全域の制覇にはまだ到達していません。皆様のご協力無しにはこの調査研究は成り立ちません。
コウモリの観察はそれほど難しいことはありません。詳しくは「調査方法」のページに書いてありますので、まずは一通りご覧ください。
この調査の目的は
「東京都23区でのアブラコウモリの生息地図を作ること」
です。
私の当初の予想は「東京都23区全域にアブラコウモリは生息している」というものでした。これまでの調査からはアブラコウモリは多くの場所に飛来しているらしいことがわかりました。が、飛来していない場所もあるようですし、均一に分布しているのでもなさそうです。「アブラコウモリは都市でも普通に生息している」と言われることがありますが、より具体的に生息分布を明らかにしたいです。
また、観察の結果を集計・分析すれば、おおよその生息数を推定することもできるかもしれません。これも重要なことです。
もう一つの目的は、
「ネット参加型生物調査の方法のフォーマットを作ること」
です。
ネット参加型生物調査にはいろいろな方法がありますが、ひとつのやり方を「フォーマット化」しようと考えています(東京コウモリ探検隊!のホームページ全体がフォーマット(マニュアル)だとも言えます)。
もちろん、地域や動物によって調査方法は違ってきます。東京タヌキの調査方法ともかなり異なったものになっています。調査方法はいろいろ考えられますが、そのひとつの実例を示したいと思います。
フォーマット化ができれば、似たようなことを考えている方々の参考になるでしょう。他の地域、他の動物でも挑戦する人が出てくることを期待しています。
アブラコウモリといっても知らない人が多いでしょう。
アブラコウモリはアジアに広く生息するコウモリで、日本でも広い地域に生息しています。特に平野部で見られ、大都市にも生息しています。アブラコウモリは建物の隙間をねぐら・冬眠場所とします。そのために都市部でも生息できるわけです。家屋にすみつくことからアブラコウモリは「イエコウモリ」とも呼ばれます。
東京都23区に生息するコウモリはアブラコウモリだけと思われますので、判別には難しい知識は必要ありません。
コウモリ観察ポイントを紹介しよう、というプロジェクトです。
今年も引き続き観察ポイントをGoogleマップ&ストリートビューで公開していきます。コウモリとは関係ない投稿も掲載していますが、コウモリ観察ポイントには「#TokyoBatPoint」と表記していますので目印にしてください。
2017年はほとんど追加できませんでしたが、これからもいろいろ試行錯誤していきたいと思います。
神田川・日本橋川を巡るクルーズ(つまり観光船)というものがあります。このコースでは一部区間ではありますがアブラコウモリが飛んでいます。夜の東京で船に乗ってコウモリを探検する、というのは面白い企画と思いませんか?
いろんな会社が船を運行しているようです。皆様からも何か有用な情報がありましたら教えてください。
アブラコウモリがいるかどうか確認したいけどちょっと簡単には行けそうにもない場所があります。だれか連れていってくれませんか? いずれの場所もアブラコウモリが生息していると予想されます。(テレビ番組の企画として面白いと思うのですが、視聴率には結びつかなそうです。)
その1=第六台場
「台場」とは砲台を設置するために築造された人工島です。第六台場は立ち入り禁止らしいので、周囲を回るだけでも十分です。そのそばの鳥の島(防波堤)にもアブラコウモリはいると思われます。ちなみに第三台場、現在の台場公園にアブラコウモリがいることは確認済みです。
その2=羽田空港D滑走路先端
鳥が飛行機に衝突する「バードストライク」という言葉がありますが、「バットストライク」という言葉は聞いたことがありません。羽田空港は自然環境的にはアブラコウモリがいてもよさそうな気がしますまあ、さすがにD滑走路(海に突き出た滑走路)先端にはアブラコウモリはいないかもしれませんが、空港内のどこかにはいると思われます。
東京コウモリ探検隊!の調査は東京都23区限定です。それ以外の地域ではやらないの?と思われる方もきっといらっしゃるでしょう。そのような方はぜひご自身で取り組んでみてください。調査方法は東京コウモリ探検隊!のものを参考にしてください。宮本からもアドバイスできるでしょう。狭い地域ならば1人?数人でも全域調査は可能です。
今年も観察に行ける機会は少ないかもしれません。
今のところ世田谷区、目黒区の踏破を考えています。
今年は自宅での定点観察は休み、代わりに新港南橋(港区)での定点観察を続けます。
※新港南橋のアブラコウモリ
アブラコウモリは冬眠するため冬の観察は無意味です。ところが新港南橋では冬でもアブラコウモリの活動が観察できることがわかりました。ただし、頻度と活動頭数は非常に少ないものです。
実はアブラコウモリ(その他の食虫性コウモリも)は冬眠期間中に中途覚醒します。新港南橋ではその中途覚醒を高い確率で観察できる条件がそろっているようなのです。
2017年10月から年末までの途中経過は「東京コウモリ探検隊!2017年調査報告書」内に記載しています。2018年1月以降も観察は継続しており、最も寒い1月、2月にも活動を確認しています。
宮本の連絡先はこのメールアドレスです。
miyamoto.takumi%gmail.com
[迷惑メール対策用にメールアドレスを一部改変しています。「%」は「@」に置き換えて下さい]
Google+で経過を報告したりしていますのでご覧ください。